こんにちは。絵と文のイラストレーター、「さくらみ(さくらみゆき)」です。
こちらでは、イラスト制作風景や、日常の中のやさしい時間、
心躍るひとときを、イラストでお伝えしていきます。
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誰の記憶にもないこと

昨年の夏、冷房をかけていたのかどうかも
覚えていない、忘れん坊の私なのですが、
先日、ニューヨークにいた頃の日記を、
偶然見つけました。

 
10年前のニューヨーク。
忘れていたことがいっぱい書いてありました。

 
ルームメイトのカルメン18歳
「ねえ、ミユキ。
 ときどき私のハートと、
 私の頭は、別々のことを言うの。
 私はそのたびに、どうしていいか、
 わからなくなるのよ」
と、何とも乙女っぽい、
かわいらしい言葉で恋の相談をし始め、
 
私は
「ああ、カルメン、良いこと言うなあ。
 すごく伝わってくる。
 日本人でも、スペイン人でも、
 関係なく、言葉って伝わるんだな」
としみじみ思った夜のこととか、

 
26歳の韓国人のGwang-jeが、
19歳の日本人の男の子と、
タイ料理屋さんで激しい口論になり、
 
しかもその原因が、
以前Gwang-jeのアパートで、
どろどろに酔っぱらったその19歳の子が
トイレに行って、そのあと水を流さず、
しかもパンツをはく前に
酔いつぶれてしまったことがあって、

 
鍵はかかっていなかったから救出は
できたのだけど、
Gwang-jeが、
「まったく大変だった。
 きみは僕に感謝すべきだ。
 あのときは、きみはゲイなのかと
 一瞬疑ったんだ」
とからかったという、
どうでもいいようなことで、

ゲイだっていいじゃないの!
と今なら言ってあげたい所だけれど、


とにかく、
おそらくゲイの人たちに
とても愛されている
のであろう、
その界隈(グリニッジビレッジ)の店で、

 
「ゲイじゃない!」
「いや、きみはゲイだ」
「そんなことを言うお前がゲイなんじゃないか?」
「そんなことはない。ゲイはそっちだ!」
 
と大声でやりあい始めた時には(もちろん英語)
ヒヤヒヤして、どうなることかと思った…
というようなことや、

 
Ansonという、
女の子に絶大な人気のある
ニューヨーカーの英語教師が、
 
夜のActivityに、変なシャツを着て、
変なサングラスをかけてやってきたというのに、
それでもやっぱり格好よくて、

 
Walkの信号を無視して走ってきた車を、
両手を広げて止めたあげく、
「Stop!  We shoud walk!」
と堂々と風を切って歩き始めたことに
ちょっと感動し、
 
大人の男はやっぱり格好いいと思った
ということとか、

 
ヤンキースタジアムに応援に行ったとき、
対戦相手のマリナーズのイチローの名前が
一番最初にコールされたのが嬉しくて、
「イチロー!!!」と絶叫したら、
 
ポップコーン売りの黒人のおじさんに
ビシッと指刺され、
「Hey, You!Be quiet!」と言われてしまい、
(そう、ヤンキースタジアムにいるのは、
 言わずと知れたヤンキースファンばかり)

 
それをしっかり見ていたAnsonに、
クックックと笑われたあとで
「Welcome to New York!」
と自慢げに言われて、
 
その地元愛が、やはり嬉しく、頼もしく、
ますますニューヨークが好きになった
こととか…

 
他にもたくさん、
たった一瞬なのに、
私の心を揺るがせた小さな出来事が
それはそれはたくさん、
書いてありました。

 
たとえば
私は「絵と文」でよく紀行文を描くけれども、
その旅とて、
本当は描けなかったことのほうが多いのです。

 
それは、たいていが、
「窓をコツコツとたたく音がしたので、
 ビックリして振り返ると、
 宿の前の小川にやってきた小鳥たちが
 たてた音だった」(安曇野にて)
 
というような、本当に
とても小さいことで、
誰に言うほどのことでもないの
かもしれないけど、

 
でもその瞬間、
確かに私は、キュンとして、
心がコトンと動いたのです。

 
その出来事は、
この世で唯一私が味わったことだと言うのに、
誰かと共有することも、
書き留めておくことすらできずに
忘れてしまうことが多いなんて…

 
そういう感動って、一体、どこに
消えていってしまうのだろうか。

 
できれば、そういう小さなことほど
絵や文にして
人と共有したいと思っている私は、
それを思うと、かなり
切なくなってしまいます。

 
とにかく、
何かに心が動いたときの気持ちって
何でもいいから、できるだけ、
書いておくべきだなと、
あらためて思いました。

 
読み返すか、
読み返さないかは別としてもネ。
 
それが小さなことであれば、尚の事です。

 
そこに、はっと目を見張るような
特別な学びがあるわけではないけれど、
小さいことの中には、
「生きる喜び」の核心が
ぎゅうっとつまっている気がします。

 
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